遺言Q&A73

相続完了後に別の遺言書が出てきた場合の対応は?

すでに遺産分割や名義変更などの相続手続きを終えてから、数年後に新しい遺言書が発見されるケースは決して珍しくありません。
この場合、まず確認すべきは遺言書の作成日付です。法律上、複数の遺言書が存在する場合は日付が最も新しい遺言書が有効となるため、後から出てきた遺言書の日付が新しい場合には、その遺言書の内容が優先されます。

そして、すでに古い遺言書の内容に基づいて財産を相続してしまっている相続人や受遺者がいる場合には、本来相続するはずだった人が「相続回復請求権」を行使することが可能です。
相続回復請求権とは、正当な相続権を侵害された相続人が、誤って財産を受け取った人に対して、本来の相続分を返還してもらうよう請求できる権利のことです。

ただし、この権利の行使には時効があり、

  • 権利侵害の事実を知ったときから5年、または

  • 相続開始から20年
    のいずれか早い時点で権利が消滅します。
    したがって、後から遺言書が見つかった場合には、速やかに司法書士など専門家に相談し、内容確認と相続関係の再調整を行うことが重要です。

ポイント

  • 複数の遺言書がある場合、日付が新しい遺言書が優先。

  • 既に手続きが終わっていても、相続回復請求権の行使で返還請求が可能。

  • 時効は「知ったときから5年/相続開始から20年」なので早期対応が必要。

まとめ

相続完了後に新しい遺言書が見つかった場合でも、正当な相続人は財産の返還を請求できる可能性があります。
ただし、相続回復請求権には時効があるため、発見後は早急に遺言書の内容を確認し、司法書士などの専門家に相談することがトラブル回避の第一歩です。

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