遺言Q&A66
父が公正証書遺言で「すべての財産を長男に相続させる」と記載していました。二男の私と三男の弟は遺留分をもらえないため、兄に内容証明郵便で遺留分侵害額請求を行いました。この場合、もう時効を気にする必要はないのでしょうか?
残念ながら、遺留分侵害額請求を行ったとしても、時効が完全に止まるわけではありません。
内容証明郵便で遺留分侵害請求を行った時点で、あなたの権利は「金銭債権」として確定します。つまり、兄(受遺者・相続人)に対して、遺留分に相当する金額を支払うよう求める権利が発生します。
しかし、この権利には5年の消滅時効があります(民法166条1項)。
この「5年」は、内容証明郵便で請求を行い、兄にその通知が届いた日を起算点として数えます。
したがって、通知後5年以内に実際に支払いを受けるか、または時効を中断する行為(家庭裁判所への調停申立てや訴訟提起など)を行わなければ、遺留分の権利は時効により消滅してしまいます。
以前は「遺留分減殺請求権」と呼ばれ、不動産や株式などの特定財産を対象に物的請求ができましたが、法改正(令和元年7月施行)により金銭請求権に一本化されました。
この改正により、請求権の性質が「債権」に変わったため、消滅時効も金銭債権と同じく5年に変更されています。
したがって、「内容証明を送ったから安心」と思って放置するのは危険です。
支払いがなされないまま5年を経過すれば、法的に請求できなくなりますので、早めに調停または訴訟などの対応を取る必要があります。
ポイント
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遺留分侵害請求後も5年で時効が完成する
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時効中断には「調停申立て」または「訴訟提起」が必要
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法改正により金銭債権化 → 時効期間は5年に統一
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内容証明送付だけでは「時効停止」にはならない
まとめ
遺留分侵害請求を内容証明で行ったとしても、請求権は金銭債権となるため、5年で時効にかかるリスクがあります。
実際に支払いがない場合は、家庭裁判所への調停申立てや訴訟提起を行い、確実に権利を行使することが必要です。
時効管理と法的手続きの両面から、司法書士や弁護士などの専門家への早期相談を強くお勧めします。
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