遺言Q&A65
父が公正証書遺言で「すべての財産を長男に相続させる」と記載していました。二男の私と三男の弟は遺留分すらももらえません。このような場合、どのように手続きを進めればよいでしょうか?
このような場合、まずは「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」を行うことが必要です。
遺留分とは、被相続人(父)が特定の相続人に偏った財産配分をしたとしても、法律上、一定割合の財産を最低限確保できる権利のことをいいます。直系卑属(子)が相続人の場合、法定相続分の2分の1が遺留分となります。
遺留分侵害額請求は、まず内容証明郵便で請求意思を明示することから始めます。
この通知を送ることで、法的な請求の意思が明確となり、後の裁判や調停でも有効な証拠として機能します。
ただし、注意すべきは請求期限(消滅時効)です。
相続開始および遺留分侵害を知った日から1年以内に行使しなければ時効消滅してしまいます。また、相続開始から10年を経過すると、知っていたかどうかにかかわらず、請求権自体が完全に消滅します。
そのため、できるだけ早く相続財産を調査し、遺留分に相当する金額を算定することが重要です。
算定後は兄(受遺者・相続人)と協議を行い、遺留分に見合う金銭を受け取ることで解決します。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てる流れとなります。
ポイント
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内容証明郵便で遺留分侵害額請求の意思を明示
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相続開始・侵害を知った日から1年以内に請求しないと時効消滅
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相続財産調査と遺留分算定を早急に実施
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協議で解決しない場合は家庭裁判所に調停申立て
まとめ
すべての財産を兄が相続する遺言であっても、遺留分を侵害している場合には法的に請求可能です。
まずは内容証明郵便で意思表示を行い、証拠を残すことが重要です。
時効や証拠不備による権利喪失を避けるためにも、早期に司法書士や弁護士へ相談し、確実な請求手続きを進めましょう。
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