遺言Q&A76

遺言書で「不動産を相続させる」とあっても、生前に売却されていた場合は?

父が遺言書で「自宅の不動産を長男に相続させる」と明記していたものの、相続開始前にその不動産を父自身が売却していた──。
このような場合、「遺言の内容はどうなるのか?」と疑問を持つ方は多いでしょう。

結論からいえば、遺言者は生前、遺言の内容に関係なく自由に財産を処分できる権限を有しています。
したがって、遺言で特定の不動産を「長男に相続させる」と記載していても、遺言者(父)がその不動産を生前に売却または贈与した場合には、遺言はその部分について効力を失います。

これは、民法1023条に基づく「処分行為による遺言の撤回」に該当します。
つまり、売却や贈与といった処分行為が行われた時点で、遺言書における該当部分の効力は自動的に消滅するのです。
このため、長男は当該不動産を相続することはできません。

なお、遺言書に他の財産(預貯金や有価証券など)の記載がある場合には、売却された不動産以外の財産部分の遺言効力は有効として残ります。

ポイント

  • 遺言者(父)は生前に自由に財産を処分できる権利がある。

  • 生前の不動産売却や贈与は、該当部分の遺言撤回(効力消滅)にあたる。

  • 売却された財産以外の遺言内容は引き続き有効。

  • 遺言撤回が争点となる場合には、専門家による遺言解釈の確認が必要。

まとめ

遺言書に「不動産を相続させる」と書かれていても、遺言者が生前にその不動産を処分していれば、その部分の遺言は効力を失います。
ただし、他の財産についての遺言が残っていれば、それらは有効に扱われます。
遺言内容と実際の財産状況が異なる場合は、司法書士など専門家に確認のうえ、相続手続きを進めましょう。


遺言書全体が無効になるわけではありませんので、残りの記載に基づいて相続手続きを進めることができます。

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