相続手続き - 実例 -

ケース4相続人中の1名が相続手続きに協力してくれないため、遺産分割協議をすることが困難な場合

Aの相続人は兄(B)、姉(C)、弟(D)の3名で、Cは財産を相続するつもりはなく、相続手続きにも協力してくれないため、遺産分割協議が困難な場合。Aの相続人は兄(B)、姉(C)、弟(D)の3名で、Cは財産を相続するつもりはなく、相続手続きにも協力してくれないため、遺産分割協議が困難な場合。

相続内容について

相続財産

預金 約600万円

法定相続分

兄(B)  3分の1

姉(C)  3分の1

弟(D)  3分の1

相続手続きのいきさつ

Aさんは、結婚していないため配偶者や子はおらず、父母も亡くなっており、兄弟3名が相続人になる予定でしたが、遺言書を作成することなく亡くなりました。

相続人である兄弟姉妹3名のうち、姉Cさんについては、Aさんのことを生前からよく思っておらず、お金遣いが荒いため他人から借金をしているのではないかと疑っていました。そのため、相続手続きに協力的ではなく遺産分割協議にも参加をしていただけませんでした。

兄Bさんと弟Cさんは度々姉Cさんに相続手続きに協力をするよう説得を試みるも協力を得られず、何か方法はないものかと当事務所にご相談にいらっしゃいました。

相続人中の1名が相続手続きに協力してもらえない場合はどのように遺産分割協議等を進めればよいか?

1.相続人調査

相続手続きをする際にまず行うことは、相続人調査となります。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本等を収集することにより、相続人を特定します。

兄弟姉妹が相続人になる場合には、被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本も取得して、他に兄弟がいないかどうかを調査する必要がございます。

稀にですが、相続人全員が把握していない別の相続人がでてくることもありますので、必ず相続人調査は行わなければなりません。

2.相続財産調査

不動産、預金、有価証券、債務等の相続財産(プラスの財産、マイナスの財産)について、どのようなものがあるか調査を行います。

調査の結果、Aさんのマイナスの財産については特に何もありませんでした。ただし、金融機関や消費者金融等からの借入についてはないことは確認できたものの、個人からお金を借りている場合には注意が必要となります。

借用書や銀行振込み等により借入れがあることが分かることはありますが、書類を紛失していたり、返済方法が現金手渡し等によって借金の存在が確認できないケースもあります。相続開始後は、できる限りお亡くなりになった方の家にある書類を確認したり、郵便受けに請求書などが届いていないかを定期的に確認することが重要となります。

3.遺産分割協議の方法

2019年7月1日より遺産分割前の預金の払戻し制度が施行されたため、姉Cさんの協力はなくても預金の一部を出金することはできますが、家庭裁判所の判断が必要であったり、同一金融機関においては上限が150万円といった制限があったりするなど、相続財産600万円全額について相続手続きができるものではないので、まずは当事務所より姉Cさんの意向について確認をさせていただきました。

姉Cさんに確認したところ、自身は相続財産についてはプラスの財産も含めて一切相続する気がないとのことでした。それよりも、Aさんのお金遣いの荒さを生前から見聞きしているため、個人から借金をしている可能性があり、相続することが怖いと言われました。

そこで、当事務所よりプラスの財産を相続するつもりがないのであれば、個人から借金をしていることが後から発覚しても責任を負わないように「相続放棄」の申立を家庭裁判所にするようご提案させていただきました。相続放棄については、自己のために相続開始があったことを知った日から3か月以内に申立をしなければならないという要件がありますが、3か月経過前であったため姉Cさんの了承を得て、すぐに家庭裁判所に相続放棄の申立をさせていただきました。

相続放棄の申立から約3週間後、家庭裁判所に相続放棄が認められました。その後、姉Cさんを除く兄Bさんと弟Dさんに遺産分割協議をしていただきました。

これで遺産分割協議は成立し、相続手続きを進めることができます。

遺産分割の内容

遺産分割は協議の結果以下のように成立しました。

兄Bさん  預金300万円を相続

弟Cさん  預金300万円を相続

注意点

① 相続人が「相続放棄をする」とよく言われますが、家庭裁判所に相続放棄の申立をして受理されないと、それは相続放棄にはあたりません。後日、借金があることが判明した場合には支払いをする義務を負うことになりますので、借金を負いたくない場合には必ず家庭裁判所に相続放棄の申立をしてください。

 

② 相続放棄については、自己のために相続開始があったことを知った日から3か月以内という期限があります。原則として、3か月を経過すると相続放棄ができなくなりますので注意が必要です。

 

③ 遺言書がある場合でも相続放棄をすることは可能です。