相続手続き - 実例 -

ケース2相続人が多数いるため遺産分割協議をすることが困難な場合

Aの相続人は弟1名と兄弟姉妹の子8名(甥、姪)の合計9名で、相続人全員がそれぞれ異なる都道府県に在住しており、遺産分割協議を全員集合してできない場合。

 

相続内容について

相続財産

土地3筆、建物1棟(自宅)

預金 約2,400万円

法定相続分

弟 10分の2

兄弟姉妹の子(甥、姪) 各10分の1

相続手続きのいきさつ

Aさんは、結婚していないため配偶者や子はおらず、父母も亡くなっており、兄弟5名が相続人になる予定でしたが、遺言書を作成することなく亡くなりました。

ただし、兄弟5名のうち4名は既に亡くなっていたため、1名の弟と亡くなった兄弟姉妹の子8名(甥姪)が代襲相続をするに至りました。

そのため、相続人が合計で9名と多く、さらに相続人全員がそれぞれ異なる都道府県に在住しているため、全員で遺産分割協議をしようにも集まることができませんでした。

どのように相続手続きを進めればよいか分からないため、相続人中の1名である弟さんが、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

相続人が多数いる場合や遠方にいる場合には、遺産分割協議や相続手続きはどのように進めればよいか?

1.相続人調査

相続手続きをする際にまず行うことは、相続人調査となります。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本等を収集することにより、相続人を特定します。

稀にですが、相続人全員が把握していない別の相続人がでてくることもありますので、必ず相続人調査は行わなければなりません。

2.相続財産調査

不動産、預金、有価証券、債務等の相続財産(プラスの財産、マイナスの財産)について、どのようなものがあるか調査を行います。

相続人が配偶者や子ではない場合、亡くなった方の相続財産を正確に把握していないケースが多く見受けられますので、必ず司法書士等の専門家に相続財産調査をご依頼することをお勧めいたします。

3.遺産分割協議の方法

相続人全員が遠方のため、遺産分割協議を集まって行うことができない場合には、書類の郵送と電話により遺産分割協議を行うことも可能です。具体的には、依頼を受けた司法書士から相続人全員に対する通知及び電話連絡をして相続手続きの依頼の意思や遺産分割の内容を確認したうえで、相続手続きに必要な委任状、遺産分割証明書等を各相続人に本人限定受取郵便等で郵送します。

その後、届いた書類に各相続人が署名押印したうえで、印鑑証明書や身分証明書の写し等の必要書類と併せて返信用封筒にて返送していただきます。

これで遺産分割協議は成立し、相続手続きを進めることができます。

遺産分割の内容

遺産分割は協議の結果以下のように成立しました。

■ 弟さん     土地3筆、建物1棟を単独で相続

■ 甥・姪(8名)  各預金300万円(預金の8分の1ずつ)

 

不動産の相続登記は今後必ず必要です

不動産の相続登記については、これまでは任意であり登記をされない方もいましたが、法改正により令和6年4月1日から相続登記が義務化されます

今後は、過料(罰金にあたるもの)を請求されることもありますので、相続登記は必ずしてください。

注意点

相続人が多数いる場合や遠方にいる場合であっても法定相続分と異なる遺産の分け方をする場合には、必ず相続人全員が相続手続きに協力していただく必要がございます。

遺言書がある場合やすべての相続財産を法定相続分どおりに分ける場合を除き、遺産分割協議書を作成する必要があります。

不動産がある場合には、令和6年4月1日以降は、相続登記を必ずしなければなりません。