相続税

相続税は原則として、死亡した人の財産を相続によって取得した場合に、その取得した財産の価額に応じて課税されます。
なお、次に掲げる財産についても相続税の課税対象となります。

相続によって取得したものとみなされる財産

死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金等

ただし、死亡退職金、生命保険の死亡保険金については、非課税枠(500万円×法定相続人の人数=非課税)があります。

相続開始前の3年以内に被相続人から贈与により取得した財産

相続人が、相続開始前の3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合には、原則としてその財産の贈与された時の価額を相続財産の価額に加算します。

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産

 被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与財産の価額(贈与時の価額)を相続財産の価額に加算します。

相続税の申告期限

相続税の申告及び納税は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

相続税の納税方法

相続税は原則として金銭で一度に納める必要があります。
ただし、相続財産のほとんどが不動産等の物である場合には、金銭で一度に納めることが困難な場合がありますので、延納と物納という制度がそれぞれ一定の要件のもとに認められています。

延納は原則として5年(最長20年)で分割して納めるものになります。この延納によっても納税が困難な場合には、相続財産そのもので納税する物納で納めることができます。

相続税の計算

相続税が課税される遺産総額については、以下のように、遺産総額から基礎控除額を引いて計算します。

遺産総額(相続税の課税対象の合計額)-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額

例 遺産総額4,800万円 相続人が3人(配偶者、子2人)の場合

4,800万円-(3,000万円+600万円×3)=0円

このように、課税遺産総額が0円となる場合は相続税が課税されません。

さらに、以下の計算により法定相続分による各相続人の取得金額を算出します。

課税遺産総額×各相続人の法定相続分=法定相続分による各相続人の取得金額

上記の計算により算出した各相続人の取得金額に下記の表の税率で各相続人の相続税のもとになる額(基準額とします。)を計算します。

法定相続分による取得金額
税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

相続税における不動産の財産評価
土地は原則として、路線価(毎年、7月1日に国税庁により発表されます。)により財産評価されます。
建物は固定資産税評価額となります。

上記の計算により算出した各相続人の相続税の基準額の合計が相続税の総額となり、各人の相続税の納税額は実際の相続分の割合によります。

遺産総額(相続税の課税対象の合計額)1億円

相続人 配偶者、長男、二男 (法定相続人3人)

法定相続分 配偶者2分の1、長男4分の1、二男4分の1

法定相続分どおり相続する場合

1億円-(3,000万円+600万円×3)=5,200万円(課税遺産総額)

配偶者

5,200万円×2分の1(法定相続分)=2,600万円(取得金額)

2,600万円×15%-50万円=340万円(相続税の基準額)

長男

5,200万円×4分の1(法定相続分)=1,300万円(取得金額)

1,300万円×15%-50万円=145万円(相続税の基準額)

二男

5,200万円×4分の1(法定相続分)=1,300万円(取得金額)

1,300万円×15%-50万円=145万円(相続税の基準額)

相続税の総額

340万円(配偶者の基準額)+145万円(長男の基準額)+145万円(二男の基準額)=630万円(相続税の総額)

上記は相続税の基礎控除に基づいたものであり、各種控除の特例を利用していない場合の金額となります。

税額控除の特例

配偶者の税額の軽減

被相続人の配偶者が相続により取得した遺産額については、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

(1)1億6,000万円

(2)配偶者の法定相続分相当額

例 夫の遺産を妻が相続により取得した場合

① 妻の法定相続分が2億円の場合

1億6,000万円 < 配偶者の法定相続分相当額(2億円)のため、2億円までは相続税がかかりません。

② 妻の法定相続分が1億円の場合

1億6,000万円 > 配偶者の法定相続分相当額(1億円)のため、1億6,000万円までは相続税がかかりません。

相続税の未成年者控除

相続人が未成年者のときは、一定の要件のもと相続税の額から未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額を差し引くことができます。

年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

令和4年4月1日以降は成人が満20歳から満18歳となりました。

例 12歳の未成年者が相続した場合

10万円×(18歳-12歳)=60万円

この場合は60万円を相続税の額から控除できることになります。

その他の特例

上記以外にも、土地についての小規模宅地等の特例や、その他の特例が認められています。

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