遺言についてのQ&A
未成年者であっても遺言をすることは可能ですか?
未成年者でも15歳以上であれば遺言をすることは可能です。親権者の同意を得ることなく遺言をすることができます。
逆に、15歳未満の未成年者は親権者の同意を得ても遺言をすることはできません。
スマートフォンやボイスレコーダーなど、動画や音声による遺言を残すことは可能ですか?
遺言は原則として書面によらなければならないため、動画や音声による遺言は無効となります。
ただし、遺言書を書面で作成したうえで、さらに動画や音声による記録を残すことは遺言書の有効性(意思能力があったこと、偽造ではないこと)を明らかにできますので全く意味がないわけではございません。
夫婦や兄弟であわせて1枚の遺言書を作成することはできますか?
遺言書は1人につき1枚で作成する必要があります。したがって夫婦や兄弟でも別々に遺言書を作成しなければなりません。
遺言書には財産以外のことを書くことはできますか?
できます。家族へのメッセージや葬儀の希望など自由に書くことができます。
遺言に条件(「残った債務を負担すること」など)をつけることはできますか?
可能です。「住宅を相続させる代わりにその住宅ローンも負担すること」などというような条件をつけることは可能です。
また、「喪主を務めるかわりに相続させる」というような条件も可能です。
ペットに財産を譲り渡すといった遺言をすることは可能ですか?
財産を譲り受けることができるのは、人や法人に限られますので、犬や猫などのペットに対して財産を譲り渡すといった遺言をすることはできません。ただし、家族などに財産を譲り渡す代わりにペットの世話をしてもらうといった遺言をすることは可能です。
遺留分のある法定相続人を、遺言によって相続人から除外することはできませんか?
可能です。これを相続人の廃除といいます。ただし、遺言者が亡くなった後に、家庭裁判所が審査し、相続人として廃除されるような重大な事情(虐待・重大な侮辱を加えたまたは著しい非行があった場合等)があると認めた場合に限られます。
遺留分を侵害した遺言は無効ですか?
原則として有効です。遺留分を侵害した遺言であっても、そのことを理由に無効になることはありません。ただし、相続開始後に遺留分を有する者から遺留分侵害額請求をされた場合には、遺留分に応じた金銭を渡さなければなりません。
以前は、金銭以外の不動産や動産に対して遺留分減殺請求ができましたが、法改正により金銭を支払えばよいことになりました。
自筆証書遺言に、印鑑ではなく、拇印(ぼいん)で押印されている場合でも有効ですか?
有効です。ただし、自筆証書遺言書を作成する場合には、有効性を争われることのないよう印鑑(実印)で押印することをおすすめいたします。
自筆証書遺言に、印鑑ではなく、サインがされている場合でも有効ですか?
原則として無効となります。特に日本人の場合には無効と扱われますので印鑑を押すようにしてください。
自筆証書遺言を訂正したいのですが、訂正は可能ですか?
可能です。ただし、訂正の方法については厳格に定められており、間違うと無効になる可能性もあるため、新しく書き直すことをお勧めいたします。
法務局で自筆証書遺言の保管をしてもらえるようになったと聴きましたが、本当ですか?
法務局で保管してもらうことも可能です。法改正により法務局での自筆証書遺言の保管制度がはじまりました。これにより、自筆証書遺言の紛失、破棄、改ざんといったおそれがなくなりました。
法務局で自筆証書遺言の保管をしてもらいたいのですが、遺言者の身体が不自由なため、家族もしくは司法書士等の専門家に代理で手続きは可能ですか?
法務局における遺言書保管制度は、必ず本人が法務局に行かなければならず、家族であっても代理で手続きをすることはできません。
また、法務局の業務取扱いは、平日の午前8時30分~午後5時15分までとなっていますので、平日の昼間に時間のとれる方でないと手続きをすることはできません。
法務局で自筆証書遺言の保管をしてもらう場合、遺言の内容についても確認してくれるのですか?
確認はしてくれません。法務局は保管するための要件(自筆されているか、署名・押印がされているか、日付が記載されているかの3点)のみを確認するだけで、内容については確認をしません。したがって、内容に問題があるかどうかは司法書士の専門家に確認してもらうことをお勧めいたします。
遺言書に「相続させる」とか「遺贈する」という表現がされていますが、何か違いがあるのですか?
相続登記をするときに違いがあります。「相続させる」と遺言書に記載されている場合、「相続」を原因として相続登記がなされ、「遺贈する」と遺言書に記載されている場合には、「遺贈」を原因として相続登記がなされます。その場合の登録免許税は「相続」については、不動産評価額の0.4%なのに対して、「遺贈」は不動産評価額の2%となります。したがって、相続人に対して遺言をする場合には、「相続させる」と記載したほうが登録免許税は少なくてすみます。
遺言書を作成した後でも、取り消すことは可能ですか?
可能です。遺言というのは、遺言者の最終の意思を尊重するものですので、何度でも取り消して新しい遺言書を作成することができます。また、遺言書の内容について、一部だけの取り消しをすることも可能です。
遺言書を作成した後で、その遺言について取り消しをしましたが、その取り消した遺言書を回復して有効にすることはできますか?
できません。一度取り消した遺言を回復させるということはできませんが、もう一度同じ内容で新たに遺言書を作成すれば、回復させるのと同様の効果を得られます。
今後(遺言書作成後)に取得する財産については、遺言書に記載することはできないのですか?
原則としてできません。遺言書作成時に遺言者の財産となっていないものについて記載することはできませんが、「その他の財産についてはすべて妻に相続させる」という遺言をすることにより、遺言書作成後に取得した財産を妻に相続させることも実質的には可能となります。