相続についてのQ&A

まだ生まれていない胎児に相続させることはできませんか?

できます。相続の場合においては、法律上胎児は生まれているものとみなされますので、子どもとして相続することができます。

婚姻していない内縁の妻に相続させることはできませんか?

婚姻していない以上は配偶者とは扱われませんので、原則として相続権はありません。ただし、相続人が一人もいない場合には、家庭裁判所での手続きにより例外的に相続財産の全部または一部を相続することができる場合があります。この場合の内縁の妻のことを「特別縁故者」といいます。
内縁の妻に確実に相続させたい場合には、遺言もしくは生前贈与をすることをお勧めいたします。

妻が亡くなり相続が開始した後で、遺産分割をする前に夫が再婚した場合には、夫は相続することはできますか?

できます。相続するかどうかは、被相続人が死亡した時点で判断されますので、妻が亡くなった時点で婚姻関係にあれば相続人となります。したがって、夫は再婚後であっても相続人として遺産分割協議に参加することができます。

夫と離婚後、すぐにその夫が亡くなった場合には相続することはできますか?

できません。離婚が成立した(離婚届を役所に提出して受理された等)後においては、もはや配偶者(相続人)ではないため、日数に関係なく相続することはできません。

相続させたくない法定相続人がいますが、相続人から除外することはできませんか? 

重大な事情(虐待・重大な侮辱を加えたまたは著しい非行があった場合等)がある場合は可能です。これを相続人の廃除といいます。ただし、家庭裁判所に対する申立てをして認められた場合に限られます。

遺留分を有する相続人が遺留分を放棄するといっていますが、相続の開始前であっても放棄することは可能ですか?

家庭裁判所に申立をして許可を得れば、相続の開始前であっても遺留分の放棄をすることは可能です。ただし、遺留分の放棄をしたとしても相続放棄をしたわけではありませんので、相続をすることは可能となります。

遺留分の放棄をした場合、それによって、他の遺留分を有する者について遺留分が増えることはありますか?

ありません。遺留分を有する者が複数いる場合でも、一人の遺留分の放棄は他の遺留分を有する者に影響を及ぼすことはありません。

相続開始前であっても相続放棄をすることは可能ですか?

できません。相続開始前においては遺留分の放棄と違い、相続放棄をすることはできません。

相続登記をした後の権利書(登記識別情報通知)について、相続人が2人以上の場合でも1通しか発行されないと聞きましたが本当ですか?

昔はそうでしたが、現在は相続人ごとに登記識別情報通知(従来の権利書に代わるもの)という書面を発行してもらうことが可能です。

遺産分割をしましたが、その後でもう一度遺産分割をやり直すことは可能ですか?

可能です。相続人全員の合意があれば遺産分割をやり直すことができます。例え相続登記をした後であっても、相続登記を抹消して、再度相続登記をすることができます。ただし、その場合には登録免許税などが二重にかかることにはなります。
また、遺産分割のやり直しについては、贈与として扱われて、贈与税が課税されることもありますので注意が必要です。

相続開始後に遺言書が見つかりましたが、必ず遺言書に従う必要がありますか。

相続人全員の合意があれば、遺言書の内容に関係なく遺産分割をすることが可能です。ただし、遺言書で遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の同意も得る必要がございます。

養子縁組をした子どもについては、相続分が実子と比べて少なくなりますか?

少なくなりません。養子縁組をすることにより、法律上は実子と同じ扱いとなりますので相続分も同じとなります。
それに対して、兄弟姉妹が相続人になる場合には両親が一緒か、父または母の一方のみが一緒かで相続分が異なります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、両親とも一緒かそうでないか(片親のみ一緒)で相続分が違うと聞きましたが本当ですか?

違います。両親とも一緒の場合(全血兄弟)に対して片親のみ一緒の場合(半血兄弟)には、半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の2分の1となります。

養子縁組をすると相続税が少なくてすむと聞きましたが、養子縁組をする人数が多ければ多いほど相続税は少なくなるのですか?

一定の制限があります。相続税逃れを目的とした養子縁組を避けるため、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人までが相続税の軽減を受けられると定められています。

相続税が課税されない財産にはどのようなものがありますか?

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具など
  • 宗教、慈善、学術などの公共事業用財産
  • 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
  • 相続人の取得した生命保険など(法定相続人1人あたり500万円)
  • 相続人の取得した死亡退職金など(法定相続人1人あたり500万円)

不動産がある場合には、相続登記は必ずしなければなりませんか?

不動産の相続登記については、これまでは任意であり登記をされない方もいらっしゃいましたが、法改正により令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
今後は、過料(罰金にあたるもの)を請求されることもありますので、相続登記は必ずしてください。